そして、翌日。


『~~~~~~~~~っ!?』


何とも表現のし難い、子猫の叫び声が家中に響き渡っていた。



「…うるさい…」

隣で眠っていた朝霧が眠そうに目を細めて不機嫌な顔をした。

「何があった?…寝ぼけてるのか?」


『なななななな…何で!?』

(っていうか、アンタ誰よっ!?)

眼鏡を掛けていないので一瞬誰だか分からなかったではないか。

『アンタ朝霧っ!?何でアンタが隣に寝てんのっ!?いったい何がっ!?』

実琴はパニックでわたわたしながらも声を上げた。

だが実際には「にゃーにゃー」言ってるだけだったが。


昨夜、窓際で眠ってしまったのは覚えている。

でも何故か目が覚めたらベッドの布団に包まっていて。

思いきり『ど!アップ』で朝霧の顔が隣にあって驚いた。

(何で私、気付いたら朝霧のベッドで寝てるのっ?)

本当に、ただただ訳が分からない。




隣で突然「にゃーにゃー」騒ぎ出した子猫を朝霧は横目で見やると、目覚ましに使っている枕元に置いていたスマホを取り出した。

「へぇ…。良い目覚まし代わりだな。ちょうど起きる5分前だ」

口の端を上げて面白そうに言った。


『な~ぬ~~~っ!?』




子猫になって二日目。不思議な同居生活の始まり。

こうして、思いのほか賑やかな朝を迎えた実琴なのであった。