『うぅ…』

うっかり眩んだ目をゆっくりと開けていく。


(…今の光は何だったんだろう?)


そう思ったところで、はた…と動きを止めた。

その、目の前の光景に一瞬頭が真っ白になる。


実琴の前には朝霧がいた。それは良かったのだが…。

「大丈夫かっ?いったい、今のは…っ…」

座っていたソファに倒れ込むようにぐったりしている自分を、朝霧が抱きかかえるように支えている。


(え…?これって、何か…おかしくない…?)


「おい、辻原っ。…急にどうしたっていうんだ…」

目を覚まさない実琴の頬を軽くペチペチ叩いていた朝霧が、ふと…何かに気付いたように動きを止めた。

そして、今度は周囲をキョロキョロと何かを探すような素振りを見せる。


(ど…どうしよう…。これって…やっぱり…アレだよね…?)


…嫌な予感しかしない。

だが、それは自らの身体を確認してみれば、ハッキリと分かることだ。


(いやいやいや…、既に予感とかそんな可愛いものじゃないから!)


分かってはいても、まるで金縛りにあってしまったかのように身体が上手く動かなかった。

自分自身の深層心理がそれを拒否しているのかも知れない。


実琴が己の内で葛藤していたその時、何かを探していたらしい朝霧が、こちらを振り返った。

そこで、お互いの視線がバッチリと合う。


「お…まえ…」

朝霧は抱えていた実琴の身体をそっとそのままソファに横たえると、身体ごとこちらに向き直った。