カワイイ子猫のつくり方

「そう言えば、『ルナちゃん』っていうのは…?」

不意に千代が口にしていた名を思い出して聞いてみると。

「ああ。そいつの名前だ」

朝霧は子猫を指さして言った。

「やっぱり…。名前、変えたんだね」

『ミコ』から『ルナ』に。

千代の話を聞いていて、そうなんじゃないかな?とは思っていた。

「でも、どうして…?」

不思議に思って聞き返すと、朝霧は「当然だろ?」と、さも当たり前のように言った。

「『ミコ』はお前だろう?そいつはミコじゃない。だから新しく名前を付けたんだ」

…ということらしい。


あの夜の翌日。

連れ帰った子猫は目を覚ましたその時から、行動、反応、はたまた鳴き方さえ、全てにおいてミコとは別の猫になっていた。それは事情を全く知らない千代にも『何かがあった』と分かる程に。

千代には「説明すると長くなるがコイツはもう以前の『ミコ』じゃないんだ」ということだけを朝霧は伝えた。

それで普通は納得出来るものでもないとは思うが、千代は朝霧の言葉をそのまま受け入れて納得したらしい。

「私は難しいことを聞いても分からないので。坊ちゃまの言葉を信じますよ。それだけで十分です」…と。

そうして、名を変えることにも抵抗はなかったのだという。


「ルナちゃんっていう名前は、朝霧が付けたの?」

「ああ。俺は、あの月夜の日にコイツと初めて会ったから…」

『月』から『ルナ』と。

そう説明をする朝霧は少し照れているようだった。