カワイイ子猫のつくり方

その時だった。

不意に階段の陰から何かが飛び出して来た。

三人の視線がそちらへ集中する中、それは実琴の足元を目指してやって来る。


「ネコちゃんっ」


そう、それはあの子猫だった。

「にー」

子猫は実琴の呼び掛けに応じるように小さく鳴くと、屈み込んで抱き上げる実琴の手の中に素直に身を委ねた。

「元気そうだねっ。良かった」

「みー」

お互いに再会を喜んでいるような二人(一人と一匹)に、千代は目を丸くして驚いていた。

「まぁ驚いた…。この子がこんなに大人しく抱かれるなんて。辻原さんには随分と懐いてるのねぇ」

「えっ…?そうなんですか?」

実琴はその事実に驚き、千代と隣にいる朝霧とを交互に見上げた。

すると、朝霧が軽く肩を竦めながら説明してくれる。

「ああ。コイツ、結構なやんちゃ者でな。俺がいない間は千代さんにお願いしてるんだが、どうにも手に余って仕方ないみたいなんだ」

「えっ…」

抱えている子猫に目をやると、子猫はこちらをじっ…と、つぶらな瞳で見上げている。

「そうなんですよ。ちょっと目を離すと悪戯するわ、隠れちゃうわで…。さっきもずっと探していたんですけど、そんな所に隠れていたのねぇ」

(そ…そうだったんだ…)

この子猫は既に自分ではないのだし、こればっかりはどうしようもないことなのだが、朝霧に子猫のことを頼んだ手前何だか申し訳ない気持ちになった。