自分たちが出て行った後にクラス内で様々な噂話に花が咲いているとはつゆ知らず、二人はゆっくりと歩きながら学校を後にした。
バス停の前に差し掛かった所で、バスに乗って行くかどうかを朝霧が聞いて来たが、実琴は「朝霧さえ良ければ、ゆっくり歩きたい」と申し出た。
そんな実琴の言葉が意外だったのか、朝霧は一瞬動きを止める。
「別に俺は構わないが…。バス停五つ分だから少し距離はあるぞ」
「うん。大丈夫」
二人はバス停を通り過ぎて歩き出した。
「朝霧…あの日、この距離を歩いて私を連れ帰ってくれたんだよね?」
横を歩きながら笑顔で見上げて来る実琴に、朝霧は「ああ」と頷くと。
「猫を連れたままバスには乗れないからな」
と、その時のことを思い出すように遠くを見つめて言った。
そんなに日は経っていないのに、まるで随分と昔のことのようだ。
「私もね、この道を歩いて学校に行ったんだよ」
「ああ、カラスに食われそうになった日のことか」
ニヤリと口の端を上げて笑う朝霧に「そんな身も蓋もない言い方…」とツッコミを入れつつも、実琴は笑顔を見せた。
「あの日の朝、朝霧の後を見つからないように追い掛けていたら、目の前でバスに乗って行かれちゃって焦ったんだ。それでバス通りを目印にね――……」
互いに様々な話をし、耳を傾けながら二人はゆっくりと朝霧家へ向かって足を進めた。
学校では殆ど話せなかった分、そんな穏やかな時間が何より嬉しかった。
バス停の前に差し掛かった所で、バスに乗って行くかどうかを朝霧が聞いて来たが、実琴は「朝霧さえ良ければ、ゆっくり歩きたい」と申し出た。
そんな実琴の言葉が意外だったのか、朝霧は一瞬動きを止める。
「別に俺は構わないが…。バス停五つ分だから少し距離はあるぞ」
「うん。大丈夫」
二人はバス停を通り過ぎて歩き出した。
「朝霧…あの日、この距離を歩いて私を連れ帰ってくれたんだよね?」
横を歩きながら笑顔で見上げて来る実琴に、朝霧は「ああ」と頷くと。
「猫を連れたままバスには乗れないからな」
と、その時のことを思い出すように遠くを見つめて言った。
そんなに日は経っていないのに、まるで随分と昔のことのようだ。
「私もね、この道を歩いて学校に行ったんだよ」
「ああ、カラスに食われそうになった日のことか」
ニヤリと口の端を上げて笑う朝霧に「そんな身も蓋もない言い方…」とツッコミを入れつつも、実琴は笑顔を見せた。
「あの日の朝、朝霧の後を見つからないように追い掛けていたら、目の前でバスに乗って行かれちゃって焦ったんだ。それでバス通りを目印にね――……」
互いに様々な話をし、耳を傾けながら二人はゆっくりと朝霧家へ向かって足を進めた。
学校では殆ど話せなかった分、そんな穏やかな時間が何より嬉しかった。



