カワイイ子猫のつくり方

「何だ。急に改まって…」

「感謝してるんだよ。本当に」


目の前で無邪気な笑顔を見せる実琴に。

朝霧は眩しそうに僅かに目を細めた。


「…不思議だな」

「えっ?」

「こうしてお前の口から子猫だった時のことを語られていても、普通なら到底信じられるような事じゃないのに、今振り返ってみると結構しっかりお前はお前だったなって、思ってな」

「…それはまた、単純だっていう意味で?」

僅かに頬を膨らませる素振りを見せる実琴に。朝霧は不意に手を伸ばすと指で実琴の額を軽く弾いた。いわゆるデコピンだ。

「いたっ」

「卑屈に取るなよ」

痛む額を右手で押さえ、困惑気味に見上げてくる実琴に朝霧は満足気に微笑みを浮かべた。

「お前が木から落ちたあの日。雨の中で途方に暮れてる子猫の背中を見た時、放っておけないと思ったのは、あれがお前だったからなんだろうなってことだ」

「えっ…」


(それって…?どういう意味?)


朝霧がじっ…と、こちらを見つめてくる。

「特別なんだよ。お前は」

「とく…べつ…?」



何にとって?

『放っておけない』?

私だったから?


私が…?



実琴の頭の中は小さなパニックを起こしていた。

何より真っ直ぐに見つめて来る朝霧の視線から目を逸らせない。


(あさ、ぎり…?)


「お前といると退屈しない。これからも、ずっと…俺の傍にいろよ」