「まぁ相棒は頼りない部分はあるかも知れないが、辻原がしっかりしてくれてて助かるよ。これからも、お前がその調子でB組を引っ張ってってくれなっ」

「…はぁ」

そう何だかんだと上手く煽てられて話を終えると、実琴は職員室を後にした。


(…しっかりなんか、全然してないのにな)


先生に掛けられた言葉が、僅かに心に引っ掛かっていた。


先程提出した書類は、来月開催される体育祭のクラスメイトの種目別リストだ。

今日の学活で学級委員である実琴達が中心となって、それぞれの希望を取りながら各種目の参加者を決めていたのだが、クラスの纏まりがなく、なかなか話が進んで行かなかった。

男子の学級委員は長嶋という男で、クラスの人気者ではあるのだがこいつが超!が付くほどのお調子者で。

例の如く、他の生徒達と一緒になってふざけてしまっていた。

女子はまだ協力してくれて、始めの方は「静かにしなよ」など声を上げてくれている子もいたのだが、担任が席を外していたこともあり、次第にそれぞれが別の話題で盛り上がってしまっていた。

実琴が一人、前で声を上げようと、結局は皆が勝手なことをしていてなかなか進行出来ない状況。


(駄目だこりゃ…。やってらんないわ…)


実琴は自分の力量不足を感じずにはいられなかった。