カワイイ子猫のつくり方

流石に人であったことを捨てて子猫として生きていきたいなんて思ったことはない。

今までの人生を簡単にここで投げてしまえる程、生を受けてからの約十七年間は自分にとって嫌なものではなかった。

だけど…。

子猫になって朝霧に拾われてからの数日は、色々な意味でドキドキの連続で。こうして無事元に戻れた今だから言えることだとは分かっているけれど、正直楽しかったのは確かだ。

どちらかというと苦手だった朝霧の、学校では見えなかった部分を知れば知る程、心惹かれていくのを感じていた。

(でも、それは私が『猫』だったからだ…)

猫好きな朝霧が、猫にだけ見せる優しい顔。


でも、それなら何で子猫の中身が私だと分かった後で、あんなことを言ったんだろう。

(でも冗談だって言ってたしね。結局はからかわれただけかな…)

そう思ったところで不意に、その後朝霧が口にした言葉が頭の中に蘇って来た。



『お前がいないと学校もつまらないしな』



え…?

あれ…?

ちょっと待って?

何か、何気に凄いこと言ってない??


急にその時のことが思い出されて、今更ながらに心臓がドキドキと高鳴り始めてくる。

(あの時は朝霧がすぐに話を切り替えちゃったから、何気なく流されてしまったんだけど…)

よくよく考えたら、朝霧がそんなことを言うなんて。


カーーーーッ…と、思わず音が聞こえそうな程に頬へと熱が集中していくのが自分でも分かった。