カワイイ子猫のつくり方

自分には霊感なんてものは、これっぽっちも存在しないのだから。

(分かってはいるんだけど。それって何か寂しいな…)

決して他の幽霊たちが見えるようになりたいという訳ではないけれど。

(そこんとこ重要だよね。取り憑かれるのも勿論御免こうむりたい!)

でも、守護霊さんには本当にお世話になったから。

(それに守護霊さんは朝霧のお祖母さん…なんだもん。ちゃんとお別れの挨拶くらいしたかったよ)


実琴は屋上の縁に前のめりに寄りかかるようにすると、そこからの景色に視線を流しながら小さく溜息を吐いた。


朝霧とは、学校へ行けば会えるだろうけど。

(それでも、きっと…ミコに見せていたような笑顔はもう見られないんだろうなぁ…)

普通に学校で会う朝霧の、何処か冷めた無表情を思い出して再び溜息を吐いた。

(なんか…勿体ないことした気分…)

元に戻れて嬉しいのに。これでは、ただの無いものねだりだ。


風に吹かれて僅かに乱れた髪を右手でかき上げた。

そこで不意に、ある言葉が頭に浮かんで来る。


『…このまま俺の猫に、ならないか?』


昨日、朝霧が口にした言葉。

(そう言えば…。あれはどういう意味で言った言葉なんだろう…)


『お前…。どうしても元に戻りたいか?』


真っ直ぐに見下ろしてくる視線に、その意図をはかりながらもドキリとしたのを覚えている。

(あの時は、ネコちゃんを救いたい一心だったから…)