二人はお互いにじっと見つめ合いながら、どこか心を通わせているかのようだった。

そうして、どちらからともなく顔を近付けていくと共に祈るように目を閉じ、額と額をそっと合わせた。

すると…。


二人が淡い光に包まれていく。


それは、あまりに不思議な光景だった。

ぼんやりと、だが明らかに二人の身体が発光している感じだった。

今まで薄暗かった病室が、その淡い光に照らされて自分達の影を大きく壁に映し出している。

「…何だ?いったい…」

辻原達に何が起きているというのだろう。

驚愕している俺の横で、祖母が同様に目を見開きながら呟いた。

「凄い…。今、二人の気持ちが上手く同調しているの。ミコちゃん達の元に戻りたいという気持ちが一つになっているのよ。…いけるわっ。これなら、きっと大丈夫。元に戻れる筈よっ」

後半は僅かに笑み浮かべながらも興奮気味だった。

祖母には、この光景以外の何かが見えているというのだろうか。

こうして聞いている限りでは「ホントかよ」と疑いたくもなる内容だが、実際彼女は人ならざる者だ。こうして父親の身体を乗っ取ったりしている以上は、何か特別な力を持っていてもおかしくはないのである。


すると…。

不意に淡い光は強さを増してゆき、次の瞬間。カッ…と眩しさに目を開けていられない程に煌めいた。


「……っ!」


たまらず片手で目前を覆い、落ち着いたのを見計らい目を開けてみると。

そこには、そのままベッド上に倒れ込んでいる辻原と子猫がいた。