カワイイ子猫のつくり方

看護師の話では、明かりを落としている方が落ち着いているらしく、敢えて室内を暗くしているとのことだった。

昼間、興奮状態にあった為彼女には抗不安薬…。つまり俗にいう精神安定剤の投与がなされたとのことだ。

現在は安定していると話していたが、室内はあまりに静かだった。

もしかしたら眠っているのかも知れない。


二人と一匹で顔を見合わせると、ゆっくりと暗い病室内へと足を踏み入れた。

いつまでも人目につく廊下にいるのは得策ではない。変に看護師たちの目に留まり、余計な印象を付けるのは極力避けたいところだ。

とりあえず病室に入ってしまえば、誰かがこの部屋を訪れない限りは人目につくことはない。その点では、本当に個室に移動してくれてラッキーだったと言って良い。

ただ、突然ズカズカと入っていって子猫を驚かせてしまい、再びパニックなどを起こさせてしまうようなことがあれば、きっとすぐさま看護師たちが駆け付けて来る。
そうなれば、計画が何もかも台無しになってしまうだろう。

絶対に、それだけは避けたかった。


二人は出来るだけ子猫を驚かさないように、大きな音を立てぬよう、まずは静かに扉を閉めると、そのままベッドからの距離を保ったまま室内の様子を伺っていた。

実琴も朝霧のポケットから顔を出すと、室内を大きく見渡した。

真っ暗なのに何故だかよく見える。

(猫は夜目が利くってホントだったんだ…)