『成程ねー。それで病室へ行く為に京介の協力が必要という訳ね』
一瞬、守護霊さんの口から出た『京介』という名に『?』を飛ばしてしまったが、昼間彼女が話していたことを思い出した。
(そっか。朝霧のお父さん『京介』って名前だったっけ)
実琴は、こくこくと頷いた。
『流石に協力…とまではいかないとは思うんですけど。なかなか信じられないことだと思うし…。でも、とりあえずこうして院内に入れたので助かりました』
ここからなら病室へ向かうのも断然楽だ。
人の多かった昼間の病院を移動するのとはワケが違う。
看護師のいるポイントさえ押さえていけば辿り着くのは容易いだろう。
(病室が個室になったのも、ある意味ラッキーだよね。病室にさえ入ってしまえば人の目につくこともないだろうし…)
『そうねぇ。この子がどこまで信じてくれるかってとこよねぇ。大体理系の人間は、どうしても不可思議な現象とか信じない派が多いのよ。旦那もそうだったけど京介もきっと同じね。どんなに呼び掛けてみたって私の声も全然届かないし…』
若干恨めしそうに朝霧父を見つめる守護霊さんに、実琴は乾いた笑みを浮かべた。
彼女が朝霧の祖母だということは、朝霧父は彼女の息子ということになる。
(呼び掛けても届かない…。もしかして、それがもどかしくて朝霧の身体を乗っ取ろうとしたりしたのかな?)
そう思うと、何だか気の毒な気がしてきた。
朝霧にとっては、いい迷惑でしかないだろうけど。



