カワイイ子猫のつくり方

だが、途端に朝霧は眼光を鋭く光らせると不敵な笑みを浮かべた。

「とりあえず、お前が人の言葉を理解出来て、パソコンで文字を打てる猫だってことは分かった。だが、お前が辻原本人だという証拠はどこにある?何か証明出来るのか?」

『えっ?証明…?』

そんなことを言われると思ってもみなかった実琴は呆然とした。

「お前が変わった猫だなんてのは俺だってとっくに知ってる。だが、猫のお前が「実は辻原だ」と言い張っても流石にそう簡単には普通、信じられないもんだろう?言葉では幾らでも言える。別人が成り済ますことだって出来なくはないからな」

今度は真面目な顔で見下ろしてくる。

その視線を受け止めながら、実琴は戸惑いに瞳を揺らした。


(確かに、それはそうだけど…)


でも、それなら何て言ったら信じて貰えるんだろう?

本気で考えていると、朝霧が付け足すように言った。


「ま。辻原に成り済ましたところで、何か利点があるとは思えないけどな」



…カチン。



『また、あんたはそういうことをっ!』

その、あんまりな言われように実琴は傍にあった朝霧の手に噛みつこうと飛び掛かった。

「おっと!」

だが、寸での所で避けられてしまった。

『うぬぬぬぬーーっ』

悔しがって、その場にうずくまっていると頭上でクックッ…という押さえたような笑い声が聞こえて来た。

「ある意味、解りやすい。確かに辻原っぽいリアクションだな」