カワイイ子猫のつくり方

振り返ったミコは、何処か覇気のない顔をしてこちらを見上げていた。

その大きな瞳は、どこか哀し気な色を宿しているようにも見える。


「お前…どうしたんだ…?」


朝霧はただただ、その小さな存在を驚きの表情で見つめていた。

そんな朝霧の反応さえ、まるで予測していたかのように、ミコは表情を変えずにこちらを見上げたまま「みゃあ」と小さく鳴くと。

再びパソコン画面の方へと向き直ってしまった。

そして、再びちらり…とこちらに視線だけを送ってくる。

その行動は、まるで。


「…俺に、それを『読め』と言ってるのか?」


「にー」

ミコは返事をするように鳴いて応える。


(おいおい…。マジか…)


これは夢か?と疑いたくなるような展開に、流石の朝霧も心の動揺を隠しきれない。

パソコンのキーへと伸びる手が柄にもなく震えそうだった。


(だが…元来コイツは不思議な奴だった。それは俺が一番良く知っている筈だ…)


今までにも、人の言葉を理解しているかのような行動はあったのだから。

ならば、文字が打ててもおかしくは…?


(いや。普通に十分、大問題だがな…)


だが、これでコイツの行動の意味を知ることが出来るのかも知れない。

そう思ったら、どこか気持ちが高揚してくるのを抑えられない。


朝霧は、検索バーに入りきらない程に打ち込まれた、その文字を読む為、ゆっくりとカーソルを動かし始めた。