『私には猫ちゃんの後ろに高校生位の女の子の姿が見えているわ。それに、こうして普通に話せているのが何よりの証拠じゃないかしら。いくら幽霊でも普通は動物と会話までは出来ないと思うわよ』

『あ…。確かに…』

普通に話し掛けられたから、全然気にも留めていなかったけれど。

『それでね、朝霧の家にいた時は分からなかったんだけど…。ミコちゃんから、この先の病室へと何か光の筋のようなものが伸びているのが見えるの』

『え…?光?』

その言葉に、実琴は自分の身体や周囲を見回してみるが特に変化はないようだ。

『私には何も…』

『そう…。私にもよくは分からないのだけど、多分それがあなたの身体と魂?みたいなもの…つまり中身ね。それを繋いでいるんだと思うわ』

『…あ…』


まだ…繋がっている?

自分の身体と…?


それは、元に戻れる可能性があるということだ。


(まだ間に合う…。そういうことだよね?)

実琴は少しだけ見えてきた希望に瞳を輝かせた。

『あ、あの!どうしたら戻れるんでしょうか。何か知りませんかっ?』

『そうね…。そもそも何でこんなことになってしまったの?』

『あ…それは…』


実琴は事の経緯を全て、その女性に話した。



『そうだったの…。そんなことが起こり得るなんてね…』

女性ははじめ驚いた表情を見せていたが、何か思い当たることでもあるのか考え込むように押し黙ってしまった。