さすが、だね。

 私の中で芽生える気持ちに本当に情緒不安定になっていたけれど、菜穂の言葉で一気に心が晴れた。

 
 

 あまりにも早く進む恋愛は“恋愛初心者”の私にはきっととてもとても大きかった。

 けれどそうやって少しずつ、私はきっと一之瀬君を明日よりも今日、好きになっていくんだね。

 私は頬が緩んだ。

 菜穂も何かを悟ったかのように微笑むように微笑った。

 でもすぐにその顔は思いついたかのように「あっ」と言う声に消される。

 私もいきなりの変わりように不思議に思い、菜穂を見つめると

「今度一之瀬君呼んで、ダブルデートしよっ!」

 なんて言うから私は更に顔から火が出そうになって一気に赤面。

「むむむ……!」

「“む”?」

「絶対無理ーー!」

 
 好きだけど好きなんだけど、やっぱり、デートとかそんなもの……恥ずかしい。

 それに一之瀬君だって迷惑に決まってる。

「何言ってるの! 
 さっさと行くとこまで行きなさいよ」