再び朝が来る。
何度も何度も訪れる“今日”という日々が俺にとっては薄っぺらっく感じれてならなかった。
どうせ今日が来たって何も変わるものはないから。
中野に逢う前までは、例えば明日俺の命があと3日とか宣言されたら、俺は喜んでその死が来る現実を指折りで数え、死を待ち構えていただろう。
無気力な感情に支配されていたから。
……でも。
中野に出逢って一つ一つ知っていくうちに、自分にはこんな感情があるんだって事に気づかされた。
自分でも知らなかった本当の自分の気持ちを知った時、初めて心から守りたいものの深さに気づけたんだ。
これからも君の側に居たい。
変わっていく君の側にずっと居て、優しくて暖かい日常を共有していきたい。
俺は再びありったけの想いを詰め込んで、あの日渡されていたキャンパスの絵の最終段階へと進めていた。
優しい絵を描きたい。
君の心のように。
色合いは目を見張るような鮮やかな赤やそれを薄めて桃色にしたり、さまざまな色を作って絵を仕上げてゆく。
溢れる想いを言葉では上手く伝えられないから、絵に乗せて君に伝えるよ。
その火の中にある、輝く夢。
掴まえた瞬間、希望が生まれる。
そして“今日”という日々をまた色づかせる。
――題名は“想愛(そうあい)”