再び目が合う。

 俺は中野に近づいた。

 手を肩に乗せると中野の瞳が閉じる。


 
――深い、深い、キスをした。


 それは闇と一緒に溶けて行きそうなほど。


 再び中野が目を開いた時、空から白いものが降って来た。


「あ、雪だ!」

 中野は目を輝かせ、その場を見渡す。

 その姿にさっきまでの雰囲気とはまるで違って見えるから、不思議なもんだ。

 とりあえず俺もその雪を見る。


 真っ白だ。

 手に乗せるとすぐ水になってしまう。





 やがて辺りは白に染まった。

 その光景に涙が出そうになった。



 でもすぐに涙を堪える。

 だって中野には泣き顔なんて見せたくないから。