「実はこの話を持ち上げた時、彼がいつになくやりたい、この担当を任せて欲しいと推してね、だからきっと君の事も悪くは扱わないと思う。

 これから色々と打ち合わせをしないといけないから、顔を見合わす回数も増えるだろうけどよろしく頼むよ」

 いつになく部長さんの笑顔が輝いて見える。
 
 そして部長さんは「こいつは普段不真面目すぎるくらい不真面目だから、こんな風に仕事をやりたいとか言い出したのは初めてだ」とか、「頑張ろう」だとか生き生きと語っている。

 まさか彼がこの新聞部に入部していたなんて。
 まさか彼が私の担当だなんて。

 
――まさか……私の詩を笑い者にした彼がここにいるなんて。

 私は、その話を遠くになりながらも聞き、クラッと倒れそうになった。

「よろしくなっ」

 そう言って差し出された手がさらに私の頬をピクピクと痙攣させる。

 
 それに対して彼は満面の笑み。

 私は引き返されるのなら、引き返したいとさえ思った。


 * * *


 
 あれから数時間が経ち、私は家へと帰ってきた。

 自分の部屋の扉を開け、ベッドに飛び乗る。


――はぁ~……。

 さっきから何回ため息をついてるんだろう、私。

 だってまさかあいつが担当だなんて思ってもいなかった。


 思い返せば返すほど脱力する。

 大体下の名前が「優」だなんて、名前負けしてるにも程がある。

 あいつのせいで私の中学校時代のあだ名は「悪シュミちゃん」だったんだから。