君色キャンバス

 
 一之瀬君が耳まで真っ赤にして私を見つめている。

 その姿に私は体温が上昇した。

 全身が熱を持っている。

 
 あれ、でも何か……変だな。

 嬉しいのに、不思議と涙が溢れて来た。

「――中野?」

 不安げに私を覗き込む姿も思わず愛しくて私は溢れ出す涙を止める術を見失う。

「……ありがとっ!」

 それだけしか言えなくて、涙ばかり溢れ出す。

 その言葉に一之瀬君はふっと笑みを零した。
 そして私の涙を手で不器用に拭ってくれた。

 再び目が合うとそこからはもう恥ずかしくて、それでも想っていたいとしまう気持ちが溢れ出した。

 やがて夕日が教室をオレンジ色に染める瞬間、一之瀬君は照れくさそうに「じゃあな」と言った。

 私も涙を拭いながら「うん」と答えるとまだ穏やかな目で笑ってくれる。


 教室の廊下を真っ直ぐ辿ればすぐ着く美術室へと消えた一之瀬君の姿を目で追い、そのまま廊下に滑り込んだ。

 
 さっきまで立って入れたのも不思議なくらいだ。


 一之瀬君は私の中にいつのまにか大きくなっていて、そして今はこんな風になっている。

 その現実がちょっとまだ変な感じだ。

 パンッと両手で頬を叩く。

 少しひりひりしながらも「よしっ」と呟いた。
 
 * * *

 美術室に入り、扉を閉めると俺はそのまま蹲る。

 カッコ悪いとは思いながらも、全てが熱かった。
 
 今は真冬だというのに、俺の体温ときたら軽く微熱まで行きそうな勢い。


 俺を見ている中野の目があまりにも不安げに見えてしまって、勢いで言ってしまったけれど、我に返ればただの馬鹿だ。どうしようもない。

 あんな……告白をするとは。

 ただ恥ずかしくて、後からくる感情に追いつけない。