君色キャンバス





 * * *

 部活へと向かおうと、教室の扉をガラッと開くと、目の前には一之瀬君が居た。


「ぇええああああ?!」

 突然の出来事に、言葉が言葉にならない。

 一之瀬君は無表情のまま突っ立っていた。

「俺さ、文芸部入部しといてあれなんだけど……。
 やっぱ俺は絵が好きだから、美術部に入部しようと思ってる。

 そう言い来たんだ」

「あああああっと、それはご丁寧にありがとうございやす」

「やすって……。
 中野は文芸部だろ?」

「う、うん……」

 私はなんだか一之瀬君の顔を見る事が出来なかった。

『私のこと、好き?』

『てか私達ってどういう関係?』


 ああ、どれをとっても重過ぎる。

 言えない。

「……中野」

 いきなり沈黙を破った。

「はいっ?」

 目が合う。
 その瞬間、一之瀬君が真剣な顔になって

「俺は言葉が中野ほど上手くないからそういう言葉、上手く伝えればいけど……。
 なんつーか……、なんていうーか……。

 ちゃんと見てるっ、から……」