君色キャンバス

 
 そこからはシバセンとの睨み合い。

 やがてさっきの事にまるで穴埋めでもするかのように、コホンと1つ咳払いをしながら

「まぁいい。授業を進める。
 中野も、席に着け」

 そう言った。

「……はい」

 私はその一言を返し、自分の席へと着く。

 
 考えてみれば私……一之瀬君の何なんだろう。

 さっきまで一緒に居た時は確かに想いが重なっていた気がしたのに、一之瀬君は私の事「好き」なのかな?

 あの言葉は友情でも恋愛でも取れて、曖昧な解釈が出来る。

 私の中だけの勝手な解釈をして、一之瀬君にはそんなつもりじゃなかったとしたら単なる勘違い。

 そう考えると少し胸が疼く。

 でもそんな考えを一之瀬君に言うと重い子って思われそうで恐い。


 授業が淡々と進む。

 窓際の席の端はいつになく不安でいっぱいで、授業が世界史ならなおさらだ。

 黒板には変な名前と、その時々の事柄で埋まっている。

 
 それを一切写さずに真っ白なノートが風のせいでペラペラと捲れて行く。

 誰かが「寒い」と言い、私は慌てて窓を閉める。


 一之瀬君……。
 

 私は胸の中で芽生える気持ちが変な方向へと向かっていく気がした。