君色キャンバス


 学校へ2人で向かう。

 案の定、大遅刻だった。
 だからわざと正門には向かわずに秘密の場所から高い塀を飛び越え、学校へと入る。

 いつもの階段をいつものように上って行く。


――1年2組

 その札を見、一之瀬君が堂々と教室に入ってく。

 私もその後につく。

 クラスメイトの目がやけにじろじろ見られる。

 それもそのはず。
 だって何しろ一之瀬君と私が一緒に登校だもんね。

 一之瀬君のクラスのイメージは「何考えてるのか分からない」「優等生」「空気みたい」だもん。

 私もつい最近はその1人でしかなかった。

 そして今、一番近くに居る。
 何だかね、凄く凄く大きいんだよ。

 気持ちがいっぱいいっぱいで、現実がついていけなかった。

 それでもやっぱりクラスメイトの目を見れば、現実が見える。

 一之瀬君はどう思ってるんだろう。
 
 聞きたいけれど少し不安。


「お前ら遅刻して何平然としてるんだ、理由は?」

「寝坊してました」

 間髪いれずに答える姿にみんなが大爆笑。

 真面目な面して、そんな返答が帰ってくるとは全然予想もしていなかったんだろう。

 シバセンがいつになく声を和らげながら

「まぁいい。座れ」

「はい」

 一之瀬君はすたすたと自分の席に腰をかける。

 そして私は立ったまま。

「で、中野は一体何で遅刻したんだ……?」

 シバセンの目がさっきの一之瀬君の返答のせいで怒りに変わっているじゃないか。
 これじゃあ答えづらい。

「あ、え……あっと」

「中野さんも寝坊だそうです」

 一之瀬君がそう言うと、先生がさらに怪訝な顔をする。

 もしかしてシバセン……私達の関係を疑っているんですか。