「へっ、変な詩だったでしょ?! 
 一之瀬君の気分害しちゃってごめんね。風があんなに吹くとは思わなかったんだ。
 ……ほんっとごめんなさいっ」
 
 私はペコリと一礼をする。

 何分間かの沈黙。

 その沈黙が凄く痛かった。

 
 ああ、やっぱり完全引かれてる。
 さっきから一之瀬君の目も中々直視することさえ、不安で出来ない・

 ううん、もしかしたら軽蔑されたのかも。

 そういった考えが頭の中で駆け巡る。

 その瞬間一之瀬君は黙っていた口を開いた。


「中野って今まで思ってたイメージと違って、自由なんだな」

「……え?」

 思ってもいなかった一言。
 私は顔上げて、一之瀬君を見た。

 やっぱり一之瀬君はいつも通りのポーカーフェイス。
 
「いや。俺と違って考えが、全く正反対だからさ」

「……どういう事?」

「中野は俺が欲しいと思っているものを天然で持ってる。俺には手に入らないものを、さ」

 思っていた考えとは全く予想もしない事が出てきたので思わず「?」が頭の上を駆け巡る。


「…………よく分からない」

「分からない方が正解なんだよ」


 そう言って踵を返す。

 私は一之瀬君の後姿を見つめ、一気に脱力。

 何だったんだろう、さっきの意味は。