もうどんなに叫んで願ったって時間なんて、戻れるはずもないのにな。
馬鹿すぎて、浅はか過ぎて……泣けてくる。
その日、俺は時間の感覚さえ忘れて自分が描いた絵の目の前に立ち、その絵を眺め続けた。
気がつけばまた朝日が差し込み、“今日”が始まる。
皮肉なもんだな。
時間なんて。
時間が経てば何もかもがうろ覚えになってしまうから。
ふと中野が持って来たプリントに目を落とす。
そうすると1枚の紙が落ちてきた。
それを拾い上げ読むと、思わずその文字に目を奪われた。
---------------------------
棲む世界に 濁る夢
儚い未来に 孤独を描く
例え僕に終わりが見えようと
それさえも魅せて欲しい
終わりで始まる この“今日”が
変わってゆく音を 僕は知りたい
冷たいから 求めてしまう
暖かいから 失ってしまう
そのカケラの断片に
僕は涕を一つ堕とした
---------------------------
この詩は――何なんだろう。
俺自身を中野が書いたのか、それとも中野が中野自身を書いたのか。
……そんな事はどうだっていい。
こんなにも空白の時間をなんで中野の詞(ことば)1つで変わってしまうんだろう。
馬鹿すぎて、浅はか過ぎて……泣けてくる。
その日、俺は時間の感覚さえ忘れて自分が描いた絵の目の前に立ち、その絵を眺め続けた。
気がつけばまた朝日が差し込み、“今日”が始まる。
皮肉なもんだな。
時間なんて。
時間が経てば何もかもがうろ覚えになってしまうから。
ふと中野が持って来たプリントに目を落とす。
そうすると1枚の紙が落ちてきた。
それを拾い上げ読むと、思わずその文字に目を奪われた。
---------------------------
棲む世界に 濁る夢
儚い未来に 孤独を描く
例え僕に終わりが見えようと
それさえも魅せて欲しい
終わりで始まる この“今日”が
変わってゆく音を 僕は知りたい
冷たいから 求めてしまう
暖かいから 失ってしまう
そのカケラの断片に
僕は涕を一つ堕とした
---------------------------
この詩は――何なんだろう。
俺自身を中野が書いたのか、それとも中野が中野自身を書いたのか。
……そんな事はどうだっていい。
こんなにも空白の時間をなんで中野の詞(ことば)1つで変わってしまうんだろう。