君色キャンバス

――え……。


 俺の手の中に榊原さんがポンと自分の携帯を乗せた。


「この携帯は当時、この事件を担当していた警察にだって見せなかった。

 省吾が死ぬまでに俺とメールしたやりとりがその携帯にはあるから、見たいときに見ればいい。

 お前が知りたくない真実も、知りたかった真実もあるだろうけど、それでも進むのを決めたのなら、お前にその携帯はやるよ」


 青色の携帯。

 光に当てると反射する。

 
 心臓が、加速する。

 見たいと思ってしまう。

 勢いが止まらない。


 …………でもっ、
 
 開けてしまうのが、正直恐い。

 携帯を持つ手だって震えている。

 
 その震えを榊原さんに見られるのが嫌で、必死で震える右手を左手で抑える。
 



「……ゆっくりでいい。真実をそんなに急ぐ必要なんてないんだから」

「はい……」


 * * *


 すっかりと教室は電気を点けないと真っ暗になるほど、夜になっていた。

 私は床に座っていたせいか、スカートが埃っぽくなっている気がしたので軽くパンパンはたくと、急に教室の扉が開いた。


「――奈津! 探したっ!!」