君色キャンバス


 思い出す。

 走馬灯に。

 何もかもが透明だったあの日々を。


 元々、俺は1人だったはず。

 それなのに気づけばたった1人の人と一緒にいられる未来を描いてる。


「馬鹿だ、俺――」


 あんな電話を中野に電話して、困らせることくらい知っていたはずなのに。

 今の中野の大切な全てを失わせてしまおうとしてる。


 
 ……やっぱり想像してた通り中野はここには来てない。

 あの時は混乱して、ああいう返事をしてくれたんだろう。

 
 冷静になったらきっと色々想いがこみ上げて、ここには来れなくなったんだ。



 でもやっぱり中野に逢いたいと思ってしまう俺は、やっぱ少し未練がましい。

 

 中野の笑顔一つでで今の俺の崩れそうになったボロボロの気持ちを一瞬で粉々にしてくれるのに。