「私……これで間違ってなかったんだよね?」


「“何を”間違うんだよ?」


 間髪入れずに訊き返す北村君の目は相変わらず吸い込まれそうになる。

 あまりにも真剣だから。


「――分かってるくせして、訊き返すんだね……?」

「何を勘違いしてんのか知んねーけど、お前がここに来たってことはそれが“答え”なんだろ。それでいいんじゃね?」


 目を閉じた。

 真っ暗。

 聴こえるのは木々の揺らぐ音と、校舎へと向かう生徒の声。


 どれもが活気あって、鮮やかな色に染められる。


――生きてる音――


「これが……“答え”――?」


 前も後ろも右も左も。

 私は動いていない。


 
 これが答え?



 チガウ……。



 何も始まっていない。