一之瀬響(いちのせきょう)君は、またいつものように窓の外を見ている。

 
 頬杖をつきながらただぼうっと外だけを一点に見る姿に、思わず目を奪われた。


 一之瀬君は、何を考えてるのか全く理解できず、その上いつも空気みたいにただそこにいるだけの存在で、そんな彼と隣の席になったのはつい最近の事。

 
 特に目立ちもせず、何かに取り付かれているかのように、外だけをひたすらじいっと見つめている。


 私はその姿を横目で毎日のように見つめていた。


 一体何を考えているんだろうとか、何を思っているんだろうとか、色々な質問が授業中に頭の中を駆け巡り、集中出来ない。

  
 
 一之瀬君は独特の雰囲気を持っていた。