カラオケで盛り上がってる時、村上君の携帯が鳴った。

「もしもし?」

村上君が携帯を持って部屋から出ようとしてやめた。

「なぁ、松島が来たいって…」
松島…松島……聞いたことはある。
少ない引き出しの中から情報を探す。

松島鷹斗(まつしま たかと)
同じ専攻で村上君と同じチューター。
頭の中の情報とはとうやら正解だった様子。
他のメンバーが次々に了承していく。
私も断る理由がないから了承する。
なんだか、智ちゃんがウキウキしてる。
他のメンバーに聞こえないように耳元で聞いた。

「智ちゃん、松島君のコト好きなの?」

驚いた顔で智ちゃんが私を見つめてくる。

「な、なんで分かったのぉ?」
小声で顔を少し赤くし、私に聞いてくる。
まさか、私も松島君が好き、なんて言えない。

「なんか楽しそうだったから、だよ」

あたり障りのないようにそう言って口を閉じた。