雨の記憶。

1回、2回……呼び出し音が鳴る。
5回目の呼び出し音が鳴り止もうとした時だった。

「もしもし?」

松島君ののんびりとした口調が私を余計に苛立たせた。

「あのさ、メールで断るってどういうコト?」

声をなるべく落ち着かせて話しかける。
しばらく松島君は、何も話さなかった。

「直接話がしたいんだけど?」

「………うん」

「じゃあ、食堂前にいるから」

「分かった。今から学校行くよ」

約束を取り付け、電話を切って一息つく。

―――彼の家から学校までは、約15分かかる。
その間に話したいコトを整理しておこう。


周りの事を忘れ、そんな事ばかり考えていた。