カキーン!

バットの音が鳴り響く。

みんな汗だくになってがんばってる。

入部してから次の日、1年はひたすら体作り、たまにバッティング。

みたいな感じだった。

「羽美ちゃん!ポット満タンにして!」

ゆら先輩に言われて

「はい!」

と大きく返事してポットにかけよる。

ポットっていうのは、簡単に言うと大きな水筒で、それを置いた机には塩分補給の飴も置いてある。

部員達はそこで水分補給をするんだ。

全部、全部。

ゆら先輩から教えてもらったこと。

ポットを満タンにすると、今度はボール拾い。

マネージャーも、結構キツイもんだな。

でも、マネージャーなんかよりも選手たちのほうがしんどいんだから。

選手達を見てると、私も頑張ろう、って思える。

ボールを拾ってボールかごに戻す。

この作業が終わると、今度は1年のランニングのタイムをはかる。

ストップウォッチを持ってゴールのとこにたっておく。

すると、岩橋くんが息を切らしながら一番で帰ってきた。

す、すごい……。

速すぎる……。

ピッ!

ストップウォッチをおす。

「岩橋、3分45秒!」

「はい!ありがとうございます!」

私がタイムを言うと、岩橋くんは帽子をとり、礼してからバッティング場所に向かう。

大丈夫かな。

頑張りすぎてるんじゃ……。

でも、この特訓があるからこそ強豪校って言われるんだよね。

甲子園も目指せるんだよね。

次の人がやってくる。

私は大きな声で

「田中、4分13秒!」

と読み上げた。