青い涙〜君と同じ空を〜

調理室から出ると、マネージャーの先輩に部室へと呼び出された。

部室は、まぁ、男って感じのにおい。

部室は、大きめの男子部屋と小さい女子部屋があった。

女は少ないもんね。

部室に入り、マネージャーの先輩はクルリっとこちらを向いてニコッと笑った。

「私は宮城 悠良。これから同じマネージャーとしてよろしくね!ゆら先輩って呼んでね〜」

綺麗だな、やっぱり。

すっごく大人だ。

「改めまして、望月羽美です!よろしくお願いします!」

ペコッと深く礼をすると、

「きゃー!後輩だ!しかも、いい子!嬉しいわっ」

え!

こういうキャラなの?

もっと大人っぽいと思ってたや。

さっきとはうってかわって、テンションの高いゆら先輩。

「……ぷっ!」

思わず吹き出してしまった。

「ちょ!?羽美ちゃん!なんで笑うのよ!」

「だって、ゆら先輩、見た目と中身が全然違うんですもん。」

私が笑うと、ゆら先輩も笑った。

どうしよ、これからすっごく楽しみだ。

「でも、羽美ちゃん、覚悟しときなさいよ?マネージャーって、結構キツいんだから!」

だよね。

だって、強豪校だもんね。

「私、絶対、甲子園に行きます!」

私が叫ぶと、ゆら先輩はめをまんまるくして、フッと柔らかく笑って、

「うん、信じてる。頑張ろうね。」

と言った。

そうだ。

岩橋くんも言ってたよね。

『甲子園行きます!』

って、クラスの自己紹介のときに。

頑張らなきゃ。

まだ岩橋くんに甲子園行こう!ってこと伝えてない。

岩橋くんにも、伝えないと。

これから一緒に戦う仲間になるんだから。

はやく、はやく。

伝えなきゃ。

そう思ったら私の足無意識には動き出していた。

後ろから

「羽美ちゃん!?」

って言うゆら先輩の声が聞こえた。

外に出ると、1年、2年、3年、全員走っていた。

1年だけ体操服だった。

あ。

みつけた、岩橋くん。

私は走っている岩橋くんに、追いつくためにダッシュした。

速いよー!

やっと追いついた私は

「岩橋くん!」

と叫ぶ。

みんながこっちを見た。

「あ、あの!私も甲子園行く!一緒に行こう!」

岩橋くんは目を見開いて、その後に少し苦笑した。

そして、コク、と笑ってうなづいた。

ホッ。

良かった。

笑ってくれた。

周りの人にはヒューヒューって言われて小突かれてたけど。

私は走って元にもどる。

うん。

頑張る。