「俺さ、にーちゃんが野球やっててさ、」

ポツリ、と岩橋くんは話し出した。

「うん?」

私はコクコクと相槌をうちながら話を聞く。

「にーちゃん、甲子園の前に、……事故で野球ができなくなったんだ。体は動かないし、今はリハビリでなんとか歩けるんだけど。」

「え……。」

びっくりした。

甲子園の前なんて、すっごいショックだっただろうな。

「それで、俺が変わりに、甲子園行くんだ。」

岩橋くんは力強く喋って、自信ありげに笑った。

「うん、一緒に行こうね!絶対!」

わたしはピッと小指を差し出す。

岩橋くんは少し首をかしげて、小指を絡ませる。

「ゆびきりげんまん!」

その後、私と岩橋くんはLINEを交換して家に帰った。

ベッドにつっぷして、携帯をみる。

青空のホーム画に、犬と猫のトプ画……。

ふふっ、なんだか岩橋くんらしいなあ。

ひとことをみると、

【ゆびきりげんまん】

とかいていた。

……っ!

これ……は、

私とした、やつ?

ま、まさかね!

……うん、違うよね。

私もひとことを

【ゆびきりげんまん】

にした。