そういえば、私、岩橋くんの連絡先知らないんだなぁ。

今日大丈夫?とか、LINEしたいのに。

今度、教えてもーらおっと。

明日は来れるかな。

普通に学校あるし、来てくれるよね。

野球部で、坊主なのにかっこよくて、優しくて……。

完璧なひとだぁ。

紗友ちゃんみたい。

紗友ちゃんとお似合い……?

チクリ。

胸が少し、痛んだ。

〜〜

「羽美、おはよう!」「おはよ。」

燈花と華月が私に駆け寄る。

私も笑顔で

「おはよう!」

と返す。

あ。岩橋くん来てる!

「岩橋くん!」

私は二人の横をすりぬけ、友達と話している岩橋くんに駆け寄る。

私に気づいた岩橋くんは、

「あ、望月、おはよう。」

という。

「おはよう。昨日、大丈夫だった?」

なんだか、緊張する、な。

ゆら先輩が変な事言うから。

"恋"

なんてあるわけない。

「うん、ありがとう。」

岩橋くんは優しく笑って、また友達と喋り出す。

ドキドキ。

私は席につき、先程の岩橋くんの笑みを思い出した。

うん、素敵。

〜〜

放課後、部活の予定表をみると、今日は最後の休みだった。

そろそろ本気で甲子園への練習を始めるようだ。

これから夏休みまではほとんど休みがない。

きついなぁ。

私がそんなことを考えながら予定表を見てると、

「今日、休み?」

と、聞き覚えのある声がした。

ドキリとして振り返ると、岩橋くんがいた。

「い、岩橋君!」

顔が近い〜。

私の後ろからのぞき込むように予定表をみるから、顔が近くってドキドキが止まらなくなってしまった。

「休みか……。」

残念そうに岩橋君はつぶやく。

また自主練習するんだろうか。

でも……。

「自主練習は、今日はやめといたほうが…、昨日、倒れたんだし……。」

今日まで練習したらきっと大変なことになっちゃうよ。

私がとめると、フッと笑って、

「優しいんだな。ありがとう。」

と言った。

うぅ……

笑ってるとこは反則ですって……。

「一緒に帰る?」

岩橋君がそう言う。

うんうん、一緒に……。

かえ、……

え?!

一緒にかえ……

ムリムリ!緊張するよ!

でも、嬉しいしな……

「か、帰り、ます……」

私はうつむいて消え入りそうな声で話す。

「ん。帰ろ。」

きっと、岩橋君は私のことなんとも思ってないから自然に帰れるんだろうな。

ちょっぴり虚しく思いながら私たちは校舎をでた。