「岩橋くん!大丈夫なの?」
お昼ご飯のあと。
岩橋くんは先程よりも元気そうな顔で戻ってきた。
私は駆け寄る。
だけど───。
私をとめるように、紗友ちゃんが岩橋くんに近づく。
どくん。
また、モヤモヤでてきた。
「だいちゃん、なにしよっと…。今日は、もう帰らん?」
可愛らしく首をかしげる紗友ちゃん。
「いや、練習するよ。」
「えぇ、なんでさぁ。帰ろぉや?」
岩橋くんはツンっとした顔で紗友ちゃんの横を通り過ぎる。
「ちぇっ。……あ、羽美ちゃん!…だいちゃんのことよろしくねぇ?」
可愛いな、ほんと。
私は苦笑いしてコクリとうなづいた。
「みんな!練習始めんぞ!」
キャプテンのかけ声とともにみんなが午前中の続きをはじめる。
岩橋くんも思い足取りで、バッティングのとこへいく。
「岩橋くん!こればかりはゆずれない!今日はもう帰って!!」
私は駆け寄って、岩橋くんの目をしっかり見た。
すると、横にキャプテンも来てくださって、
「そうだよ、岩橋。いまから練習してもっとしんどくなったら取り戻しつかなくなんぞ。今日は帰れ。明日、取り戻せばいいんだから。」
と、優しく笑った。
おぉ、キャプテンすてき。
ゆら先輩とすっごくお似合いだ。
「あ、キャプテン!私、岩橋送ってきます!」
私はキャプテンにそう告げると、岩橋くんと一緒に部室へ戻った。
「わりぃな、望月。」
私は、自転車をおしながら、横を歩く。
前の時も、一緒に帰ったよね。
「ううん、さすがに顔色悪かったし。家でゆっくり休んでね。」
こんなことしか言えないんだな、私。
情けない。
頼りのないマネージャーだなぁ。
ゆら先輩が引退したら、きっと、なにもできなくなる……。
「望月?なんか、元気ない?」
岩橋くんがそう言うからビックリして私は顔を上げた。
「元気、ある、よ?」
私はニコッと笑ってみせる。
岩橋くんは、じぃっと私の目を見た。
えっなに。
そんなに見られちゃ、ドキドキ止まらないよ……。
「なにか、あった?」
え。
岩橋くんはスルリと目をそらして、前を向いた。
「聞いてくれる?」
岩橋くんだったら真剣に聞いてくれるかな。
「もちろん。」
岩橋くんは微笑んだ。
私はスッと息を吸って、話し出す。
「私さ、さっき岩橋くんがしんどいのになにもしてあげられなかった。保健室に連れてっていくことくらしかできなくて、それで……マネージャー失格だな、って思ったの。」
私が話し終えると、岩橋くんは私の頭をポンポン、とした。
きゅうーん!
え!?
女子の憧れ、頭ポンポンだよ?
私がそうやって、心の中でキャーキャーしてると、岩橋くんはしゃべり出した。
「俺はさ、大丈夫?って声をかけてくれるだけで嬉しかったけど?…てゆか、まずそういうことを悩んでること自体がすごいことだと思うよ。まだ1年じゃん。俺も、望月も。まだまだ時間はある。」
にかっと笑顔を見せる岩橋くん。
ドキン。
はじめて、みた、かも…。
そして、最後に岩橋くんは
「一緒に甲子園行くんだろ?」
と、つけたした。
あーなんだか、嬉しくなった。
頑張らなきゃね。
「うん!!」
私は笑顔でうなづいた。
岩橋くんを送ると、私は自転車にのって、全速力で学校に向かった。
眩い太陽が私を照らした。
甲子園。
その名はまだ程遠いけれど、いつか。
必ず。
お昼ご飯のあと。
岩橋くんは先程よりも元気そうな顔で戻ってきた。
私は駆け寄る。
だけど───。
私をとめるように、紗友ちゃんが岩橋くんに近づく。
どくん。
また、モヤモヤでてきた。
「だいちゃん、なにしよっと…。今日は、もう帰らん?」
可愛らしく首をかしげる紗友ちゃん。
「いや、練習するよ。」
「えぇ、なんでさぁ。帰ろぉや?」
岩橋くんはツンっとした顔で紗友ちゃんの横を通り過ぎる。
「ちぇっ。……あ、羽美ちゃん!…だいちゃんのことよろしくねぇ?」
可愛いな、ほんと。
私は苦笑いしてコクリとうなづいた。
「みんな!練習始めんぞ!」
キャプテンのかけ声とともにみんなが午前中の続きをはじめる。
岩橋くんも思い足取りで、バッティングのとこへいく。
「岩橋くん!こればかりはゆずれない!今日はもう帰って!!」
私は駆け寄って、岩橋くんの目をしっかり見た。
すると、横にキャプテンも来てくださって、
「そうだよ、岩橋。いまから練習してもっとしんどくなったら取り戻しつかなくなんぞ。今日は帰れ。明日、取り戻せばいいんだから。」
と、優しく笑った。
おぉ、キャプテンすてき。
ゆら先輩とすっごくお似合いだ。
「あ、キャプテン!私、岩橋送ってきます!」
私はキャプテンにそう告げると、岩橋くんと一緒に部室へ戻った。
「わりぃな、望月。」
私は、自転車をおしながら、横を歩く。
前の時も、一緒に帰ったよね。
「ううん、さすがに顔色悪かったし。家でゆっくり休んでね。」
こんなことしか言えないんだな、私。
情けない。
頼りのないマネージャーだなぁ。
ゆら先輩が引退したら、きっと、なにもできなくなる……。
「望月?なんか、元気ない?」
岩橋くんがそう言うからビックリして私は顔を上げた。
「元気、ある、よ?」
私はニコッと笑ってみせる。
岩橋くんは、じぃっと私の目を見た。
えっなに。
そんなに見られちゃ、ドキドキ止まらないよ……。
「なにか、あった?」
え。
岩橋くんはスルリと目をそらして、前を向いた。
「聞いてくれる?」
岩橋くんだったら真剣に聞いてくれるかな。
「もちろん。」
岩橋くんは微笑んだ。
私はスッと息を吸って、話し出す。
「私さ、さっき岩橋くんがしんどいのになにもしてあげられなかった。保健室に連れてっていくことくらしかできなくて、それで……マネージャー失格だな、って思ったの。」
私が話し終えると、岩橋くんは私の頭をポンポン、とした。
きゅうーん!
え!?
女子の憧れ、頭ポンポンだよ?
私がそうやって、心の中でキャーキャーしてると、岩橋くんはしゃべり出した。
「俺はさ、大丈夫?って声をかけてくれるだけで嬉しかったけど?…てゆか、まずそういうことを悩んでること自体がすごいことだと思うよ。まだ1年じゃん。俺も、望月も。まだまだ時間はある。」
にかっと笑顔を見せる岩橋くん。
ドキン。
はじめて、みた、かも…。
そして、最後に岩橋くんは
「一緒に甲子園行くんだろ?」
と、つけたした。
あーなんだか、嬉しくなった。
頑張らなきゃね。
「うん!!」
私は笑顔でうなづいた。
岩橋くんを送ると、私は自転車にのって、全速力で学校に向かった。
眩い太陽が私を照らした。
甲子園。
その名はまだ程遠いけれど、いつか。
必ず。

