入学式から一ヶ月たって五月。

クラスの人とはだいぶ喋れるようになってきた。

野村燈花や飯田華月とも仲良くやっている。

4月よりも暖かい風が心地いい。

「羽美〜、ご飯食べよぉ?」

「うん!!」

燈花と華月と3人で机を囲むように座る。

「羽美は部活、楽しくやってんの?」

華月が聞いてくる。

私は大きくうなづく。

「うん!すっごい楽しい!」

「へぇ、良かったな。」

華月はサラサラの髪をサラリとはらって、おにぎりにかじりつく。

「でさぁ、はるとくんがさぁ、今日の朝にぃ…………。」

お喋りさんな燈花は自分の恋愛話をする。

可愛いのにまだ告白ができてないんだって。

絶対おっけーなのにね。

3人でワイワイするこの時間大好き。

〜〜

「羽美ちゃん!今日は練習試合らしいからダッシュで用意して!」

部室につくと、ゆら先輩が慌てたようにパタパタと走る。

練習試合?

どことだろう。

私ははやく部活の服に着替えて、ポットとタオルを用意する。

真っ白なボールもかごにいれた。

すると、校門のところから男子高生たちがザワザワとやってきた。

ユニフォームは白江高校のものだった。

白江高校はなかなかの強豪校のはず。

「こんにちわっ!!!」

威勢のいい挨拶。

迫力、ある……なぁ。

晴聖高校も負けていない。

「こんにちわ!!!」

と大きく挨拶をする。



カキーンっ!

ザワザワ。

白いボールは晴聖高校のグローブの中におさめられた。

さすが、晴聖。

戦いは晴聖の圧勝だった。

お互いのチームが「ありがとうございましたっ!」と礼をいう。

すごい。

すごい。

なんだか、甲子園みたいだった。

私がポットを片付けていると、

「君、晴聖高校野球部のマネージャー?」

と誰かに声をかけられた。

「えっ、あ……」

振り向くと、白江高校のユニフォームを着た男子がいた。

きりっとした瞳が私を真っ直ぐ見つめる。

……?

「あ、はい。マネージャーです。」

「そう。またね。」

ニコリと微かな笑みを浮かべてその人は白江高校のもとへ戻っていく。

ペコリと小さく礼をして、私もポットを片付ける。

「羽美ちゃん、好かれたのかもねぇ。」

ゆら先輩がそんなことを言い出して、私はゆら先輩と恋のお話をした。

なんと。

ゆら先輩は野球部の部長とお付き合いしてるんだって。

部内恋愛かぁぁ。

羨ましいな。

はやく甲子園がみたい。

夏になれ。

温度があがれ。

私は空を仰ぐように見上げた。