狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

ただし切り替えも早かった。

「と、ところで赤野…サン?」
「ふぁい?」

まだショボくれている私に、イヤに優しく、うわずった声で訊いてきた。

「その……来週の24日は…何か予定が入っているか?」
 
「え?クリスマス・イブ?…勿論がら空き…あ、でも…」

「何かあるのか?」

「イエ、さっき三上さんに誘われて…あ、まだハッキリと返事はしてないですが」

「三上か……ちっ。じゃあそっちはキャンセルだ。その日は空けとけ」
「はあ?!何で?」

「だから、あ~、アレだ。その日は……俺と…あの…」

彼は急に焦り始めた。
なんだか変にモジモジしている。

「はい?」
私がもう一度聞き返すと、彼はスウッと深呼吸をした。
ほんの少しの間を置いて、スラスラと話し始める。

「……えっと。前にハンカチ借りただろ?
同じのは返せないからさ。代わりにお前が好きなのを……その一緒に買いに行ったらいいかな~、と。
そのついでに、ありがたくも晩飯まで奢ってやろうと、そう言ってるんだ」
 
ウン、と自ら納得したように頷く彼。