狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

ベッと舌を出してやる。

「何だとこら、オカすぞテメエはっ」
「ひゃんっ、アブナイっ、ハンドルが狂うわっ」

「だいたいな、“出来ない”と“作らない”じゃ歴然とした差が……」

席から腰を浮かせ、運転席に手を伸ばしかけた彼は、それを止めて座り直した。


フフっと笑って語り出す。

「まあでも。いつかは俺だって…な。
タイプってのとは違うけど、一緒に長くいて貰うんなら……」
 
見るともなく、天井を見る。

「見てるだけで楽しくなる人、かな?
表情がくるくる変わって、こっちの予想外のことばかりして、いつでも目が離せない。
持っとくと幸せになれる“お守り”みたいな……アレ何だっけ?不思議な感じの…そう、『ザシキワラシ』みたいな…」
 
 ワラシ?ワラシ=童子ぃ⁉

「……カチョーはロリコン…」
「違うっ!そうじゃなくて例えば……あ…」

彼は“しまった”という顔をして、手を振り上げた姿勢のまま固まった。

「?」

見る見るうちに赤くなった顔にキョトンとしていると、やがてヘナヘナと座席のシートに戻っていく。