狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「へえ……」
なんと。面倒は抱えたくないってことか。

一見フェミニスト(ただし私以外)で、私からすると羨ましいとも思えるモテっぷりの彼が、女性に刹那的な享楽しか求めないなんて。
 
なんだか少し、冷ややかで寂しい……

カチョーは実は、アイを追う光源氏みたいなロマンチストのフリをした、冷徹な現実主義のニヒリストなんだな……

なんだかしんみりとしてしまう。

私がよほど沈鬱な顔をしていたのだろうか。彼は突然、大きな声で話題を転じた。
 
「人にばっか聞かないで、オマエはどうなんだよ。
まあ見た感じ、『ステキなカレシ』はまだ出来てないみたいだけど?

あ~~…アレだ。好みのタイプとかはあるんだろ?」

私はパッと元気になった。

「そりゃあもう!カッコ良くて、優しくて……
なんといっても外せないのは、誠実なヒト!私だけを長~く愛してくれる人、ですかね」
 
モチロン、大神カチョーは論外です!

力強く拳を握った私に、彼は白けた目を向けた。

「オマエさあ、ちょっとは自分をカエりみろよ。
そんな男が独り身で存在して、オマエの相手をしてくれると本気で思うのか」