「ふーん、そうかい」
ニッと意地悪く笑った。
“お子様” と言われたみたいで、何故かムッとした。
「で、でも三上さん、格好イイですよね。スタイルいいし仕事もデキるし。女子の間でも人気あるんですよぉ?」

そういえば昨夜、抱き締められて悪い気はしなかったしな~。
信号待ちにポッと頬を赤らめる。

 
「………」
あれ、まずい。
カチョーがブスッと黙りこんでしまった。
私は慌ててフォローする。

「あ、モチロン!大神カチョーの比じゃないですよ⁉
アナタ様が世界一に決まってますから」

「……そうか?」
声のトーンが心もちあがった。ちょっと嬉しそうにしている。

なんて面倒くさい男だろう……
白雪姫の『喋る鏡』にでもなった気分だ。

信号が変わって車がノロノロと発進し、すぐにまた止まる。
私は苛々を沈めたくて、再び彼に問いかけた。

「でもね、カチョー。
“来るもの拒まず” だなんて浮き名を流して、一体何が楽しいんです。
そもそも『タイプ』ってないんですか?
こう言っちゃあアレですが、私がカチョーならもっとこう…」