狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

大神さん……私を護ってくれたんだ。
一張羅もホコリだらけにして、ケガだってしてるかも知れない。

私がもっと早く抜けてれば…イヤ、そもそもあんな横着しなければ…

危うく泣きそうになった私に、彼は優しく目を細めた。

「赤野……」
「は、はい?」


「お前、着痩せするタイプか?」
「…………」

感動して損した。


しかし困った。

幸いにも彼は、私を覆い、右腕を突っ張って棚を支えた状態で体勢は安定したようだ。

にも関わらず、事態は悪化していた。
今は私もガッチリ固定され、もう助けも呼べなくなってしまったからだ。

私達は完全に身体を密着させたまま、時間は刻々と過ぎてゆく……


やがて疲れのためか。だんだんと頭がボヤけてきた。

と同時に、不思議と胸がドキドキしてきた。

きっと、ちょうど顔の辺りにある、大神サンの胸の鼓動が伝わってくるせいだ。

これってもしかして、危機を迎えた男女の疑似恋愛効果なのだろうか…

疲れてボーっとした大神さんが、ふと私の名を呼んだ。

「赤野……」
「リーダー……」

カツカツカツ…

「「ん?何か音が…」」

私達は、目を見合わせた。

カツカツ、カッ。

これは、ハイヒールの靴音。

ヒトが来た、助かったんだ!