狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「大神さ~~ん」
力なく右手をブルブルと差し出した私に、彼は慌てて駆け寄った。

「全く……お前は一体何をやってるんだ」

呆れ顔で手を差し伸べる大神リーダー。
ああ、今だけは貴方が王子サマにみえる…

「それがね、ちょっとイロイロありまして…」
言い訳しながら、私が彼の手をとったのとほぼ同時だった。

グラグラグラッ。

「「ウワ~~~‼‼」」


不幸とは重なるもので。

ちょうどのタイミングで、その日一番の揺れが私達を襲い……

事態はさらに悪化した。


シーーン。

薄暗い備品倉庫は、とても静かだ。

「お、大神さん…近い。もうちょっと離れて……」
「む、無理だ……くっ」

あの揺れで、咄嗟に私を庇ってくれた大神さんは、しがみついた私と一緒に倒れこんでしまったのだ。

そしてさらにその後、もう一度襲った揺れがきて、今度は左右の棚が倒れてきた。

私に馬乗りになったまま、それらを両手で支えている大神リーダーは相当キツそうだ。

「あ……赤野」
真っ赤な顔で苦しげな息の下、大神さんが呼び掛けた。