佐村サン。
知ってるもなにもここの階では有名人だ。私より5期上で、若手女子グループを仕切るボス。
かく言う私もその端っこに加わる1人。
男好きする甘めのフェイス、フワッと天然ブリッコの彼女は、男子と女子の前で、態度がコロリと変わってしまうタイプの女(ヒト)だ。
怒らせると怖いから正直私は苦手なのだが……
彼の今夜の餌食になると思うと、ちょっと可哀想な気もする。
そんなことを考えながら、ノロノロとエクセル入力をしていた、お昼ごろのことだった。
「赤野ちゃ~ん。備品庫行ってヘルメット取ってきて~、僕の特注サイズのやつね」
「ハーイ」
隣のグループの頭の大きな平田先輩から言いつけられ、私は備品倉庫に走った。
地下にある備品倉庫は、現場用品なんかが棚に積まれている、薄暗くってホコリっぽい不気味な部屋だ。
その上、さっきから頻繁に起こる地震のたびに、棚がグラグラ揺れている。
あまり長居はしたくない。
「あ~、あった、あった」
幸いそれはすぐに見つかった。
棚の一番上に並べられたメットの中でも『平田』と書かれた一際大きなそれは、やたらと目立っている。
知ってるもなにもここの階では有名人だ。私より5期上で、若手女子グループを仕切るボス。
かく言う私もその端っこに加わる1人。
男好きする甘めのフェイス、フワッと天然ブリッコの彼女は、男子と女子の前で、態度がコロリと変わってしまうタイプの女(ヒト)だ。
怒らせると怖いから正直私は苦手なのだが……
彼の今夜の餌食になると思うと、ちょっと可哀想な気もする。
そんなことを考えながら、ノロノロとエクセル入力をしていた、お昼ごろのことだった。
「赤野ちゃ~ん。備品庫行ってヘルメット取ってきて~、僕の特注サイズのやつね」
「ハーイ」
隣のグループの頭の大きな平田先輩から言いつけられ、私は備品倉庫に走った。
地下にある備品倉庫は、現場用品なんかが棚に積まれている、薄暗くってホコリっぽい不気味な部屋だ。
その上、さっきから頻繁に起こる地震のたびに、棚がグラグラ揺れている。
あまり長居はしたくない。
「あ~、あった、あった」
幸いそれはすぐに見つかった。
棚の一番上に並べられたメットの中でも『平田』と書かれた一際大きなそれは、やたらと目立っている。



