「まあ飲めや……」

彼は、手酌で自分のグラスにストレートをついで、半分ほど残っている私のグラスにもドボドボとそれを継ぎ足した。

「しかしさあ。
オマエ、ガキみたいなナリして随分と分かった風に言うじゃねぇの。
何?オマエまさか、赤野のクセにオトコいるの」

私はノB太か。
ツッコミは控える。

「ぐっ。そ、そりゃあ私にらって色恋沙汰の1つや2つ……」

「わっはっは、無理すんな。
100%居ねえわ、ニオイでわかる」

何のだ。


「い、いましたよカレシ。
ただし半年前までは…」

売り言葉に買い言葉。
すでに呂律の回らないほど酔っ払った私は、すっかり乗せられてしまった。

そうして、
彼に涙なしでは語れないトラウマ話をし始めたのだ。

………

遠方から来た地方学生のツネ。
生活利便性と金銭面を兼ね、同棲カップルは周りにも割りと多かった。

かくいう私も多分に漏れず、3年生の時から2年間の同棲生活をしていたのだ。