狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「分かってるさ。君に言われるまでもなく、よ~く分かってるんだ……

だから今朝は4時起きで準備した。
見合いは第一印象だと思ってさ、
ヘアもスタイルも、その他見えない部分も何もかも。
自己ベストを尽くしたつもりだった」

ぐっと拳を握り締める。

確かに。 
うちのコタツでお山座りしてさえいなければ、いつもの5割増しくらいにキマっている。

「さらには。
『ああ、これ花屋の店先で偶然見つけて。……キヨらかな貴女に似合うと思いましてね』という、小道具まで準備したのに…」

言いながら、1輪の包みのバラをホイッと卓上に放り投げる。

「白いバラ……うわぁ、
それはちょっと……イタいかも」

「ウルサイな。
要はそれくらい準備したってこと!

なのによ……
ホテルの前まで行った時、どうしてもそこから足が動かなくなって。
気が付いたら……ここに来ていた」

彼はガックリと肩を落とし、円いコタツに突っ伏した。

「…………」
掛ける言葉は見つからない。

私は黙って、彼の綺麗に右に巻いた旋毛(つむじ)を見ていた。
手持ち無沙汰に卓上の、バラの花弁を弄ぶ。