狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「…今は朝だぞ」
呆れた声で彼が言った。

「だから、ものの喩えです!

…でもね、意地を張っていつまでも『バイバイ』しない私に、ある時誰かが言ったんです。
『サヨウナラ』は今日の終わりじゃない。
明日がキチンとやって来て、
また楽しく遊べるようにっていう、
大事なオマジナイなんだぞ”って。
ま、
子供だましなんですけどね。
“そうか” と妙に納得した私は、
その日から『サヨウナラ』も、
キレイな夕焼けも好きになりました」

「……今は…朝だよ」

彼の声が、揺れた。 

私は湿っぽくならないように、いつもの軽い口調で続けた。

「花に嵐の例えもあるさ…ですよ。
“好き” だなんて言って貰えて嬉しかった。男の人にそんな風に言われるなんて、私は初めてだったから。

けれど…どうやらそれは私には、過ぎた言葉みたいです」

「…………」

大神さん、
アナタ間違えてる。

恋をするとアナタでも、冷静じゃいられなくなるんですね。
私なんかとの、まだ始まりもしていない“恋” のために。

クリスマスの日、無邪気に私に話してくれた自分のユメを、これまでの努力をフイにしようとなさってる。

止めてやらなければいけない。
それが出来るのは今、私だけ。


「だからね、シャチョーの椅子を真面目に目指すアナタに、トロくさい部下の赤野が、唯一出来るお手伝いです。

私からのプレゼント。

大神さんが、カチョーがきちんと明日に進めるように、大事な“オマジナイ” の言葉を」

(どうして…)
彼が小さく呟いた。


次の言葉を言わなくても済むのなら、いっそ時が止まればいいのに。

言いたくない、今ならまだ、引き返せる。

が____