狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

あくる日 早朝___


街はまだ静寂の闇の中。
幾多の星をちりばめた群青の空は、東のほんの山の端だけを朱に染めている。

冬の朝は好きだ。
しんと冷え込んだ空気は澄み、凛として清々しい。全身の澱みが清浄な気に洗われていく気がする。

「大神さん……」
彼は今朝もそこにいた。

寒いのが人一倍嫌いなくせに、彼は冬の日でも、いつも私より先にいた。

「…なんだ珍しい。早いじゃないか」
暗がりの中、微笑んだ顔はどこか儚く淋しげだ。

朝御飯のクラブサンドを手渡すと、いつものように、そのままストンと隣に座った。

「あの……こないだ廊下であった時、話があるって…言いましたよね」

予感があったのだろうか。
早速切り出した私に、彼はギクリとたじろいだ。

「あ?ああ…」

「あれ、忘れたってのは嘘で……カチョーに、いえ。
大神さんに、どうしても伝えたい事があるんですっ」


私はなけなしの勇気を振り絞り、スウッと息を吸うと、一気にそれを吐き出した。