狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-

「ああ、そうだった!
あれだけカチョーがサイン出してたのに。君、全然気付いてなかったもんな~」

彼はハハハと暢気に笑った。

「俺は…こっち来てスグ勘づいたよ?
『水野さんはもっと前よ』って言ってたけど。それ聞いた時、
“この人はいったい何をモタモタしてるんだろ”って思ったな、ウン。
……まあ、長いこと見てたら何となく分かった気がしたよ。

君との関係を…壊したくなかったんだろうね、あの人は。
俺以上に長続きしなさそうだからさ」

「……そんな」



しばらく間を置いて。
「フッ、そろそろ昔話は終わり。…じゃあ、本気でいかせて貰うよ……」

彼がトロリと目尻を下げて、潤んだ瞳で私を見つめた。
下顎を親指で軽く弾いて私を上向かせる。

膝を屈ませ、顔を近づける。
唇と唇がしっとりと甘く重な……



る寸前。

「あり?」

私はスッとしゃがみこんだ。

小柄ならではの得意技、『両手壁ドン緊縛抜けの術』(命名・トーコ)だ。

私は素早く彼の股を潜り抜け、間をとって彼の背後にたった。