『私、ずっと前からカチョーのことが…』
却下、ひねりがない。

『あの夜のカチョーのことが忘れられませんっ』
ヤらしい。

『カチョーにもっと意地悪されたいノ……』
ドMか!

東京に戻った私は、実家で考えたセリフをまたアレコレとこねくり回し、まんじりともせず夜を明かした。

明け方近くにやっと決まった言葉を、新年1発目のランニングで、カッコよく告げるつもりだったのに…… 

ダメだった。

久しぶりに彼のお顔を見た途端、勇気はシュルシュルと萎えていった。

日があいたおカゲで、私のギコチなさは何とかマシになってはいたけれど。
面と向かって気持ちを伝えるのって、思ってたほど簡単じゃない。

しかぁし、まだ会社がある!
 
意気込んだのは良かったものの、部屋に帰れば寝不足が祟り、ついに2度寝でダウンした。

新年早々だっていうのに遅刻ギリギリに駆け込んだ私は、いつもの如くカチョーに怒鳴られた。

これから告白しようとする相手に怒鳴られるなんて、幸先悪すぎ。

今日は……やっぱり止めとくか。